回転式徳俵

相撲。

よりエキサイティングなショウビジネスへ。

外国人力士が増えた日本大相撲は。
ついに相撲メジャーリーグと呼ばれ。
その後も海外投資家の惜しみない出資を馬鹿正直に受け入れた結果。
世界的スポーツビジネスの大物コミッショナーらによる実験的ルール改正の場。

回転式徳俵。
春場所から徳俵が回転する。

相撲は。
日本国。
同じ日本語系民族。
単一国家における身内同士で過度に相手を加害しないよう縄張り争いを講じるに。
編み出された格闘技にして。
ついに神事たる国技である。

回転式徳俵。

徳俵が回転する。

春場所から。

コミッショナーらは思った。
土俵際での攻防が一変する。
よりエキサイティングになるだろう。

春場所。
千秋楽。
横綱 vs. 横綱。
優勝決定の大一番。

くしくも土俵際。
西の横綱。
あと一歩下がれば回転式徳俵に足がかかるかという土俵際。

東の横綱は。
一瞬。
回転式徳俵に西の横綱を押し込めば勝てると思った。
一瞬そのように思ってしまった。

西の横綱は。
まさか横綱ともあろうものが。
そんなことを考えるはずもない。
横綱は自分の相撲を回転式徳俵にゆずらない。
回転式徳俵の手前で仁王立ち。

東の横綱。
渾身の突き出し。
西の横綱を回転式徳俵に押し込む渾身の突き出し。
徳俵が回転しようと。回転しまいと。
俺の相撲は突き出し。
そうやって戦ってきた。
俺は俺の相撲を回転式徳俵にゆずらん。
徳俵が回転しようと。回転しまいと。
俺の相撲は俺の相撲なのだ。

西の横綱。

上手投げ。
自分の相撲に回転式徳俵など眼中にないから横綱なのだよ。

回転式徳俵の上空で回転する東の横綱。

あるいは俺だ。
俺が回転式徳俵だ。

西の横綱が勝った。

おしまい

安室奈美恵 chase the chance のラップで垣間見る社会規範と功利主義の接続

安室奈美恵 chase the chanceとは、TVドラマ「ザ・シェフ」の主題歌(1996年リリース)です。

教え込まれた協調性 いいこはいいこにしかなれないよ

社会規範を守る人について「いいこ(優等生の類)」という表象が用いられる含意とは、社会規範を守る動機付けに功利主義が暗躍している現実が避けられない、という意味に他ならないでしょう。問題は「協調性」という、特に日本人社会であれば異論なき習俗(フォークウェイズ)であるということです。道徳を経験科学的なものとして眺めたうえで、その動機づけに功利主義がある現実が、いかんせん、垣間見れることもあるものだと思いました。

政治学を馳せる-O’Donnell & Schmitter 1986-

オドンネルとシュミッターの民主化研究

オドンネルとシュミッターの民主化研究とは、1986年共著 “Transitions from authoritarian rule: Comparative perspectives”(O’Donnell & Schmitter 1986)であれば、権威主義体制の崩壊過程に関する彼ら一連の研究である。権威主義体制とは、被治者(個人や社会組織)が、指導者(一名から少数)に服従するに指導者の持つ「権威(=他人を従わせる威力)」に服従しているとして、その政治体制のことである。権威主義体制の崩壊過程とは、一つの政治体制(権威主義体制)と他の政治体制への移行過程である。特にオドンネルとシュミッターの民主化研究は「自由化」と「民主化」を明確に区別したうえで独裁(両者の度合いが低い)から政治的民主主義(両者の度合いが高い)までの中間的形態として過渡期的形態を定義してみせた。1980年代当時世界中が注目していた「どのようにして民主化が起こるのか」というテーマに取り組んだという意味合いで独創的な研究である。また1980年代頃の比較政治学研究の流行は70年代民主化を経験した南ヨーロッパ(ポルトガル、ギリシャ、スペイン)に関心を寄せるものであったが、オドンネルとシュミッターの民主化研究はそうしたスペシフィックなもの(c.f.事例研究)というよりはむしろユニバーサルなもの(c.f.理論研究)を目指したという意味合いでも先駆的取り組みであった。その一方で国際関係論の文脈で語られる冷戦崩壊後(1989年以降)東欧民主化の事例を説明するに、オドンネルとシュミッターの民主化研究(国内政治的要因(c.f.タカ派とハト派))では説明力が弱く課題となった。【参考】

偏差値もボーダーラインもない入試

統計なき

編入学試験は、どんな問題が解ければ合格なのか?・・・これがわからないです。たとえば高校入試の数学で「三角形の相似の関係を見出しながら線分比を答える平行四辺形の描かれた平面図形の問題」の正解率が5割を超えることはありません。もしも正解率が2割であれば、偏差値50(上位50%)を目指すにあたって解かなくてもよい問題、偏差値60(上位17%)を目指すにあたって正解したい問題、偏差値70(上位2%)を目指すにあたって不正解が許されない問題です。しかしこうした分析は「正解率」と「偏差値」が必須です。しかし編入学試験にはなくできません。どんな問題を解ければ合格するのか正確なことは誰にもわからないのです。

中学生レベルという現実

問題です

現在では多国籍企業の世界展開が加速しているが、それによる問題も生じている。多国籍企業の世界展開によって生じる問題にはどのようなものがあるか。以下の内容をふまえて説明しなさい。

2019年4月10日にニューヨーク国連本部にて、”The Future of Work”(仕事の未来)と題されたILO創立100周年記念のハイレベル・イベントが国連総会によって開催されました。テクノロジーの発展や環境問題などで急激に変化しつつある今日の世界で、労働の需要なども大きく変わりつつあります。現実問題への理解を深めて、人間としての尊厳が守られる公正で道義的な仕事が約束される未来のために、どんなポリシーが効果的かなどを話し合う目的で開かれました。
今日私たちは、格安な衣類から輸入食品まで何でも簡単に手に入れることができます。しかし、一見豊かで便利な世の中でも、その下には弱い立場の人びとの人権をふみにじる、ゆがんだ不正義の世界が何層もひそんでいます。同じ地球にくらす仲間の人間が空腹や疲労や屈辱にじっとたえている現実をよそに、金銭的利益だけを追求する経済・ビジネスモデル、そしてそれに執着する企業や政府・そんなグローバル規模の現状を変えるには、私たち一人ひとりが意思を持って立ち上がるしかありません。【出典:2020年お茶の水女子大付属高校入試問題より(一部改訂)】

中学生レベル

解答例として、人件費削減のために、発展途上国の貧しい労働者を安い賃金で長時間働かせている、など書くことができます。

進歩

編入学試験で意識的に日東駒専など目指す受験生へ。最も効率の良いスタートとは中学生レベルの復習です。不合格になる中堅私大受験生の典型が「やっていられるか」と拒絶。しかし中学生レベルとは、受験生の具体的な中学時代を指して「進歩がない」と言うわけではないです。

何より求められる正確なボキャブラリ

問題です

(  )に当てはまる語句を答えなさい。

デジタルマネーで、給与を払えるようにするための規制緩和が検討されている。企業による給与の支払いについて、労働基準法は現金を使うことを原則として定めている。現在普及している銀行口座への振り込みも法律上は例外扱いである。政府はこの例外対象にデジタルマネーを加える考えだ。デジタルマネーとは、貨幣を使わずに電子情報のみで代金を支払う仮想貨幣のことである。
政府は2019年度の実現をめざしているが、お金を預かる資金移動業者が破綻した場合にすぐに現金を引き出せる仕組み作りが難航している。資金移動業者を所管するのは金融庁で、労働基準法を所管するのは厚生労働省と所轄官庁が異なり調整が進んでいない。
デジタルマネーでの給与支払いが可能となれば、(   )労働者の利便性が上がると言われている。銀行口座の開設に手間がかかる(   )労働者にとってはデジタルマネーの方がスムーズに給与の支払いを受けることができる。また欧米に比べると遅れている日本のキャッシュレス決済の比率を高めることにもなる。
この規制緩和によって、給与振込みを中心に預金を集めてきた銀行のビジネスモデルに変革がもたらされる可能性がある。【出典:2020年東京学芸大学附属高校入試問題社会科より一部改訂】

答えは外国人、ところで

理解出来た受験生に「規制緩和」の意味を改めて質問すると正確な解答者は100%もないです。しかし文章であれば前後文脈で読めてしまいます。そして論述で積極的な者はなんとなく読めてしまった日本語を果敢に使います。

「規制」の意味
「緩和」と「強化」の区別

最低限です。学生の誤用に「当局が規制していない物事」や「正しくは規制強化にあたる物事」を指して用いるなど典型的な誤用です。

ディフェンスに定評のある3年の池上

守備要員3年生が全員「池上」という名前とは限りませんし、同校3年生「池上」が全員守備力に定評のあるバスケットボール選手とも限らないわけですが、「貨幣を使わずに電子情報のみで代金を支払う仮想貨幣」と言われると「仮想貨幣」という専門用語を一つ知った気になれるかもしれません。しかし本当ですか、そういう語彙力の養成は確実に危険です。酷いと「それは仮想通貨と同じだから仮想通貨と同じ意味の言葉なのだな」とやってしまう者もいます。

闊達な議論のできる学生になる

考えてくれたよ

日本大学経済学部志望の学生クラスで税制の講義。経済学用語の「受益者負担」とはなにか。「鹿せんべい」が高価格である理由は奈良公園を保全するコストを賄うためだという考え方を説いた。すると学生からは「SNSにアップされた動画で鹿を楽しむ者はフリーライドしている」と面白い返信をくれた。Twitterで奈良公園の動画を視聴して楽しむに、鹿せんべいを買っていない事実は、高額な鹿せんべいをタダ乗りしていると言う。仮に鹿せんべい代で奈良公園の保全がとうとう追いつかなくなり奈良公園が閉鎖になったら、実際には来訪していない大勢が困ると思うのだと言う。そこで鹿動画に募金広告を掲載すれば良いのではないかと説いた。そこで彼は、それで解決するかはどうあれ、「受益者負担」とはなにかなんとなくわかったと言う。

合格する

編入学試験に合格する学生に必要なものは2つある。
1.自分の考えを正しいとし大なり小なり他人を共感させられる、あるいはそのような考えを生み出せる器量
2.そのうえで他人の考えと大なり小なり共感してみせる度量
「鹿せんべいは奈良公園の保全」と講師が言ったときに「はい先生」とノートを取る(そしてだいぶ後になって試験に出るんですよねと訊く)ような学生や、開口一番「違います(と言わんばかりになんでですか?)」という学生は典型的なダメ受験生である。

高度な作業

しかし編入学試験に合格するために必要な知識の(正確な)インプットを怠ってもよいということにはならない。講師の言い分を正しいとも間違っているとも思わず丁寧に頭の箱に入れておく、しかし事実的知識は正確にピックアップして正確に暗記していかないといけない。編入学受験生の知的作業は異様に高度である。