闊達な議論のできる学生になる

考えてくれたよ

日本大学経済学部志望の学生クラスで税制の講義。経済学用語の「受益者負担」とはなにか。「鹿せんべい」が高価格である理由は奈良公園を保全するコストを賄うためだという考え方を説いた。すると学生からは「SNSにアップされた動画で鹿を楽しむ者はフリーライドしている」と面白い返信をくれた。Twitterで奈良公園の動画を視聴して楽しむに、鹿せんべいを買っていない事実は、高額な鹿せんべいをタダ乗りしていると言う。仮に鹿せんべい代で奈良公園の保全がとうとう追いつかなくなり奈良公園が閉鎖になったら、実際には来訪していない大勢が困ると思うのだと言う。そこで鹿動画に募金広告を掲載すれば良いのではないかと説いた。そこで彼は、それで解決するかはどうあれ、「受益者負担」とはなにかなんとなくわかったと言う。

合格する

編入学試験に合格する学生に必要なものは2つある。
1.自分の考えを正しいとし大なり小なり他人を共感させられる、あるいはそのような考えを生み出せる器量
2.そのうえで他人の考えと大なり小なり共感してみせる度量
「鹿せんべいは奈良公園の保全」と講師が言ったときに「はい先生」とノートを取る(そしてだいぶ後になって試験に出るんですよねと訊く)ような学生や、開口一番「違います(と言わんばかりになんでですか?)」という学生は典型的なダメ受験生である。

高度な作業

しかし編入学試験に合格するために必要な知識の(正確な)インプットを怠ってもよいということにはならない。講師の言い分を正しいとも間違っているとも思わず丁寧に頭の箱に入れておく、しかし事実的知識は正確にピックアップして正確に暗記していかないといけない。編入学受験生の知的作業は異様に高度である。

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