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回転式徳俵

相撲。

よりエキサイティングなショウビジネスへ。

外国人力士が増えた日本大相撲は。
ついに相撲メジャーリーグと呼ばれ。
その後も海外投資家の惜しみない出資を馬鹿正直に受け入れた結果。
世界的スポーツビジネスの大物コミッショナーらによる実験的ルール改正の場。

回転式徳俵。
春場所から徳俵が回転する。

相撲は。
日本国。
同じ日本語系民族。
単一国家における身内同士で過度に相手を加害しないよう縄張り争いを講じるに。
編み出された格闘技にして。
ついに神事たる国技である。

回転式徳俵。

徳俵が回転する。

春場所から。

コミッショナーらは思った。
土俵際での攻防が一変する。
よりエキサイティングになるだろう。

春場所。
千秋楽。
横綱 vs. 横綱。
優勝決定の大一番。

くしくも土俵際。
西の横綱。
あと一歩下がれば回転式徳俵に足がかかるかという土俵際。

東の横綱は。
一瞬。
回転式徳俵に西の横綱を押し込めば勝てると思った。
一瞬そのように思ってしまった。

西の横綱は。
まさか横綱ともあろうものが。
そんなことを考えるはずもない。
横綱は自分の相撲を回転式徳俵にゆずらない。
回転式徳俵の手前で仁王立ち。

東の横綱。
渾身の突き出し。
西の横綱を回転式徳俵に押し込む渾身の突き出し。
徳俵が回転しようと。回転しまいと。
俺の相撲は突き出し。
そうやって戦ってきた。
俺は俺の相撲を回転式徳俵にゆずらん。
徳俵が回転しようと。回転しまいと。
俺の相撲は俺の相撲なのだ。

西の横綱。

上手投げ。
自分の相撲に回転式徳俵など眼中にないから横綱なのだよ。

回転式徳俵の上空で回転する東の横綱。

あるいは俺だ。
俺が回転式徳俵だ。

西の横綱が勝った。

おしまい